夜行列車の想い出

現在ではサンライズ以外廃止になった定期夜行列車だけど過去の夜行列車・想い出乗車レポートと夜行列車に纏わる懐かしい夜行列車ブログです(1975年以降から)

寝台特急 出雲2号(B1) 

1998年6月30日(火曜日)、 梅雨の雨が鬱陶しい松江駅寝台特急「出雲2号」の入線を待っていた。松江出張の帰りなのだが、出雲空港からの最終便18:45発のJAS278便は松江温泉初の空港連絡バスは99~109分前打ち切り、JRで出雲市駅まで移動して電鉄出雲市駅からの空港連絡バスは70~100分前で打ち切られるので危ない橋は渡れずに「出雲2号」にした。指定券を求めると何とシングルツインが1部屋あいているのだが会社では二段式B寝台の料金しか出してくれないけど来月早々には「出雲3・2号」は廃止になって「サンライズ出雲」になるため、即決で発見してもらい乗車券も同時購入。

 

時間があれば近くの蕎麦屋で出雲蕎麦でも賞味してみたかったけどそれも許されずに夕飯の駅弁を買ってホームに入る。3号車乗車口で待機していると出雲鉄道部・出雲運転区所属のDD51-1134に牽引されて17:29に入線した。早速3号車のオハネ14-303に乗り込み11番の部屋に荷物を置いて11分停車を利用して冷えた缶ビールを買いに行き事前に購入しておいた珍味で乾杯した。上り特急「くにびき11号」と特急「スーパーやくも17号」の退避も終って松江駅を17:40に発車するとすぐに車掌がやってきて見た様な車掌さんだ。今年のゴールデンウィーク山陰旅行の際に乗車した出雲の車掌らしい。

 

「家族旅行でもお仕事でも使ってくれてありがとうございます」と言われてしまったがきっぷのチェックが終ると個室カードキーをくれた。今回のシングルツインは日本海側ではない個室だけどどうせ雨天で夕日も落陽も見えないから今日は関係ない。安来(18:01-01)を発車するとこれが最後の寝台特急「出雲」乗車になるのでしみじみと雨粒が、窓に流れる様子を眺めていると不思議な気持ちになる。来月の7月10日にサンライズ出雲・瀬戸が開業すると寝台特急「出雲3・2号」と「瀬戸」は廃止。残る「出雲1・4号」も出雲市~浜田間を廃止するので東京発着ブルートレインがまたつまらなくなってしまう。

 

米子(18:11-13)を発車すると到底この天気では秀峰・大山が見える筈もなく、少し早いけど夕飯にしよう。松江駅の駅弁売場で買ったのは100㏄入りの清酒が2銘柄付いて更に松江名物や宍道湖名物のおかず「酒の肴」(あまさぎの甘露煮、モロゲエビ天ぷら、ずわいがにヤマトシジミ、中海の赤貝、アゴ野焼き、鰻蒲焼他)におにぎりが入った左党派には最高の「ごきげん弁当」という日本酒付き駅弁。最初は甘口の「國暉」飲んで次に辛口の「湖上の鶴」を飲んだがやはり個人的に日本酒は辛口が好きだ。この駅弁は予約制になってる筈だが予約のキャンセルか多目に作っての販売なのだろうか?。

 

大山は雲に隠れたまま日没前に暗くなって倉吉(18:59-19:00)を発車すると景色も見えないので出張先での会議打ち合せの内容を纏めて議事録の骨子を作成したり報告書の下書きを書いていると列車は鳥取(19:39-44)に到着した。5分停車なので気分転換にホームに降りて先頭のDD51-1134を見に行くと煤で汚れててそれぞDD51の姿だとニンマリするが機関車に付いてる出雲のヘッドマークもボロボロで白い雲の部分も汚れて名称のローマ字も不鮮明な部分があるけど年季の入ってるマークなのだろう。5分停車も終るので自分は車内に戻って歩いて3号車の個室に到着する前に鳥取駅を定刻で離れた。

 

短かかったけどホームを歩いての機関車見物はいい気分転換になり、残りの仕事の続きを初めると何とか纏め上げて職場に戻ったらPCに入力してすぐに提出出来そうだ。一仕事終わると揺れる車内での筆記が疲れたのか、急に眠くなって浜坂(20:19-19)発車早々に部屋の照明を落として休む事にする。以降は就寝中の停車駅と時刻・・・香住(20:39-40)・城崎(21:04-05)・豊岡(12:15-17)・福知山(22:17-18)・綾部(22:30-31)・京都(23:49-57)・米原*(0:44-46)・名古屋*(1:47-49)・浜松*(3:05-07)・沼津(4:41-42)・「*は運転停車」。昨夜は21時前に寝てしまったようなのでよく寝たけど目が覚めたのは丹那トンネル内だった。

 

そういえば京都駅で牽引機がDD51からEF65PFに代わっている筈で浴衣のまま先頭の8号車へ行くと田端運転所のEF65-1053号機でパンタグラフが菱形のPS17搭載する最後の第5次車なのだが東京口のEF65PF牽引寝台特急にはめったに運用に入らない機関車で後々これが最後の寝台特急牽引の花道だったと知るのは後の事である。熱海(4:59-5:00)を発車すると我が個室を寝台から座席に変えて幸い個室から太平洋が拝めるので楽しみだ。梅雨の中休みか、晴れているので湯河原から早川までの海岸線を個室の窓から眺める事が出来るのは実にラッキーな事。

 

因みに東京発着ブルートレインのB個室から太平洋が眺められるのは「出雲3・2号」のシングルツインの一部(11,12,13番)のみである。白糸川橋梁そして玉川橋梁など東海道線京口の名所を通り、小田原駅を通過した時に出雲市駅近くのコンビニで翌朝の朝食のサンドイッチを買った事に気が付いて車内の自販機で飲み物を購入して流し込むと東京到着ちょうど1時間前の二ノ宮駅を通過するところだった。馬入川(相模川)橋梁を渡り、湘南モノレールの高架橋が近付くと大船駅を一瞬に通過していよいよ横浜市に入ると戸塚~横浜間の清水谷戸隧道を出ると横浜(6:02-03)に到着した。

 

次の停車駅は終着の東京駅なので下車準備をして最後の「出雲2号」シングルツインからの車窓と列車の雰囲気を楽しむ。多摩川を渡り、品川駅を通過すると定刻6:27に東京駅10番線ホームに無事到着した。京浜東北線北行電車に乗り田端の我が家へ帰宅すると既にお風呂が沸いており、ざぶんと一浴びして夜汽車の疲れを落とす。下着各種とワイシャツを取り替えてネクタイも別なのにして家内が握ったお握りをお茶で流し込んでから自分は出勤したのである。

         ★★★★★Memories of the night train★★★★★