夜行列車の想い出

現在ではサンライズ以外廃止になった定期夜行列車だけど過去の夜行列車・想い出乗車レポートと夜行列車に纏わる懐かしい夜行列車ブログです(1975年以降から)

夜行列車の楽しみ  

下記本件ブログは2019年12月で消滅する弊yahooブログで2015年9月に紹介した内容を加筆修正して本ブログに再掲載となりますのでご承知願います(ブログ移行失敗による一部のブログ記事救済策)。

 

若い時から夜行列車の旅が好きで、勤務先の休日以外にも年次有給休暇を取得して旅に
出たものですが諸先輩方からそんなに夜行列車の旅ばかりして「疲れないか?」とか「揺れる列車だから寝れないだろう?」など、ご心配を頂いたりもしたけど疲れるどころか逆に体調も良くなり、仕事のストレスも消えて絶好調なのです。 但し3連続座席夜行や終点まで立ちっぱなしとか、上下の夜行列車を組み合せる夜行列車折り返し(通称キックターン等のイレギュラーな行為は除く)。

 

世間一般的には常識で考えても普通の人なら顔を顰める長時間乗車の夜行列車は好んで乗ったし、24時間29分間の乗車だった寝台特急「富士」や19時間29分間の所要時間を要した急行「きたぐに」の乗車とかロングな鉄道旅行が、苦痛に感じなかったし、夜行列車ではないけど特急「白鳥」や最長距離鈍行だった824列車(門司~福知山)なども嬉々として乗りに言ったくらいである。

 

では何で夜行列車が楽しいかと問えば、寝ている時に効率のいい移動ができて、時間の節約や車窓から流れる大都会の景色がよく乗る通勤電車と違う、非日常的な時間などがあげられますが・・・夜行列車から見れる空の色なのです。日没前の夕方に出て、日の出後に目的地に着く夜行列車で見れますが特に地方の駅から発車する夜行列車だと、夕焼けから始まって太陽が少しずつ沈み、それに連れて空の色も変化して特に北海道や地方だと水平線(または山の稜線)に沈む太陽が都会では見れないくらい大きくて美しく見えるのが醍醐味といっても過言ではない。

 

太陽が沈み始めるとオレンジ色の空から黄昏色の空に変わり、少しずつ漆黒の闇が支配しはじめる空のコントラストとグラデーションは素晴らしいもので何回見ても飽きないほどです。そして列車は朝を迎える前に見れる、まだ太陽は姿を現してないのに東の空はピンク色に染まり、西の空を見るとまだ闇の中で星が震えており、東と西の中間地点は群青色の空が、申し訳なさそうに見えているカラーグラデーションの妙技・・・夜行移動でないと見れないかも知れません。

 

ではなぜそこまで夜行列車に拘るのかと言えば夜行列車には新幹線や日中の特急列車には無い、非日常的な時間があるからなのです。新幹線はビジネスライクで旅情のカケラもないけど、夜行列車には特異な時間と空気が存在し、それを求めて夜行列車に乗ると言っても過言ではないだろう。仕事を終えて東京駅から乗った寝台特急ブルートレイン車内でビールを飲みながら、車窓に流れる有楽町から品川界隈のビルや夜景の景色が通勤電車から見る"それ"とはまるで別に見えてしまう不思議な感覚・・・まるで違った様に見える。


上野発の夜行列車なら上野から赤羽までの間を通勤電車で利用すれば同じように別物に見えてしまう。この感覚が上に書いた”非日常的な時間”なのである。 これから夜行列車で遠くへ旅に行くという気持ちと、普段乗らないブルートレインでいつも通勤で乗ってる区間がまるで別の世界に見えてしまう二次元的な感覚がブルートレインや夜行列車にはあるので、すっかり魔力に魅了された僕の夜行列車感性というか僕のスローライフな楽しみの一つであった。

国鉄時代は当たり前だった夕方寝台特急に乗ると、同じ寝台区画の人たちと何処までへ行くのか雑談したり、自分が行く目的地と同じなら周辺の見どころなどを聞いたり、始めて会う他人同士の出会いが夜行列車にはあります。 夜行列車は1晩同じ屋根の下(同じ車両の中)で過ごす訳なので連帯感みたいなモノが生まれ、翌朝は同じ寝台区画の人たちと顔を合せば「おはようございます」と朝の挨拶が、自然と出るのが夜行列車の良さと言えるでしょう。 国鉄からJRになると個室主体の寝台列車が、中心になり、個室を好んで乗ったので車内での挨拶や出会いは大幅に減りましたが、乗客なら誰でも使えるロビーカーやラウンジカーでは意外と出会いが多いようです。

 

因みに僕と家内との出会いも夜行列車内(1984年5月5日の「ゆうづる4号」)でしたが、深夜の夜行列車は寝ている乗客が殆どですけど眠れない時に窓から景色を外の見るのも自分流の楽しみのひとつだ。ずっと夜の闇に流れていく街灯の光を目で追ったり、深夜の人気のないホームは深夜も懸命に働く鉄道マンの姿をぼんやり 眺めたり・・・更に踏切を通過する際にドップラー効果[*1]でもの悲しく聞こえる踏切の警報音など深夜の夜行列車だからこそ経験できる楽しみである。

 

無論寝台で寝ている時に時を刻むように聞こえるレールと車輪の音や線路の繋ぎ目やポイント切換上を通過する時に奏でる音を聞いてると「自分は夜行列車に乗ってるなー」という満足感みたいなものを感じて煩い筈の音も子守唄の様に聞こえて朝まで寝ちゃう。逆に混雑する座席夜行で寝れない時に寝れないという同じ苦悩を抱えてる人とデッキに出て「いや~参りましたな」なんて話していると同じ趣味の人だったり、出会いが生まれてこれも夜行列車での楽しみだろう。

 

急行「津軽」の普通車が旧客から12系座席車に変わった急行「津軽1号」に乗った時は隣の出稼ぎから帰省するおじさん達から日本酒を勧められて結構飲まされて翌日は二日酔いのまま大館に到着してフラフラしながら花輪線に乗り継いだけどこれも夜行列車の楽しみなのかも知れない。

 

ドップラー効果[*1]: 踏切を通り過ぎる警報音が前は高く聞こえ、通り過ぎた後低い音に聞こえる効果、救急車のサイレンの音が変化して聞こえるのも同様である。 

 

                              ★★★★★Memories of the night train★★★★★