夜行列車の想い出

現在ではサンライズ以外廃止になった定期夜行列車だけど過去の夜行列車・想い出乗車レポートと夜行列車に纏わる懐かしい夜行列車ブログです(1975年以降から)

寝台特急 北斗星3号(B1)

4月くらいから北海道千歳市出張が決まっていたが、千歳空港から離れている場所ではないし、羽田6:50発のANA53便に乗れば千歳空港8:20到着なのでこの時点では「北斗星」を使うなんて考えは全く無かった。4月中旬に課長と会議後の打ち合わせを2人でしていたら課長曰く「偶には北斗星に乗りたいだろ?飛行機より費用が安いならいいよ」的な話を振ってきたので完全に読まれているなと思いながらよっしゃ、6月の千歳出張は6003列車に決定だ・・・翌日は土曜日なので2列車だとちょうどいい。早速JR北海道プラザ東京に速攻電話して早期にソロ個室を10時打ちOK、という夢の様な出張になったのです。

 

1998年6月4日(木曜日)、 上野駅13番線で寝台特急北斗星3」号の入線を待っていた。出張で下りの北斗星に乗るのは今回初めてだがまさか上司の方から話を振ってくるとは思わなかったけど計算すると北斗星で南千歳までだと23,200円、片や飛行機だと料金に浜松町までのJRと東京モノレール運賃を合わせると25,620円で差額は2,420円でこの差は大きい。意気揚々と9号車乗車口で待っていると17:05に回送6003列車が推進運転で入線すると今夜の北斗星3号は尾久客車区持ちで9号車はオロハネ24-501である。扉が開くと早速乗車して5番ソロに荷物を入れて財布に入ってた出雲用のカードキーで施錠。

 

牽引機を確認すると田端運転所のA5仕業はEF81-99だったが、確認後は売店で冷えた缶ビールを購入して個室に戻ると出張なのに何故かウキウキする。1998年は出張で既に「瀬戸」「はくつる」「あさかぜ」に乗車して楽しんでるけど「北斗星」は高揚感も一線を画して楽しい気分になるのは観光列車であるのが原因なのであろう(自分は仕事で乗ってるけど楽しめるのは鉄のサガだから)。上野駅を17:18に発車すると買っておいた枝豆で缶ビールを飲み始める。荒川を渡った頃に青森運輸区の車掌が登場して往復乗車券の行き券と寝台個室券を見せて個室カードキーを受け取った。

 

大宮(17:42-43)に到着した時には購入した缶ビール2本も飲み終えて買いに行こうかと個室を出たら車内販売が来たので早速サッポロクラシックビールを購入して夕飯にはまだ早いけどチキン弁当を肴に飲む。6月の日が長い時期で梅雨になる前なので日没時刻が、氏家駅付近のため、明るい時間帯の走行ゆえ、車窓が楽しめるのが有り難い。そういえば下り「北斗星」は1号と5号ばかり利用しており、北斗星3号の利用は本当に久々で1990年以来なんと8年ぶりとなる。ソロ個室に限って言えば3号・4号が個室定員が少なく、個室の多さを考えると1号を利用するし、仕事帰りに乗るなら5号しかないのだ。

 

さっきの青森運輸区の車掌が来た時に色々聞いてみたのだが、今夜の「北斗星3号」はツインデラックスには4室空きがあり、B寝台も空があるけど団体が2組入ってて2組とも早朝の函館下車との事。最近新聞を見ても阪急交通社や近畿日本ツーリストのツアーでも行きは北斗星、帰路は飛行機利用で北斗星利用をアピールした新聞広告も増えてる。北斗星も開業して10周年を迎えてるのでそろそろ北斗星人気や青函トンネル人気も下火なのだろうと思う。車掌曰く閑散期の翌日が平日になる日もロイヤル個室がノンゲストの日もあるらしく利用者離れが心配である。

 

列車は快調に東北本線を走り、宇都宮(18:41-43)に到着するが、ここで田端運転所の乗務員から福島運輸区(旧郡山運輸区)の乗務員に交代するがこの先控えてる黒磯駅構内のデッドセクションでのDC1.5kVからAC20kVへの走行車上切換があるため、乗務員は緊張する区間でもあると聞いた事がある。宇都宮駅を所定で発車すると太陽が低くなり、黄昏タイムになってきたが本日の日没時刻は18:55なのでもうじきだ。流石に5月ともなれば日光連山は全く見えずにそのまま暗闇が訪れて黒磯駅を通過(19:19)した頃には夜の静寂が忍び寄って周囲は真っ暗に変わっていた。

 

豊原~白坂で栃木県と福島県の県境にもなってる黒川橋梁を通過していよいよ南東北福島県白河市に入る。暇になったので車内を軽く巡回してみると10号車のSA1/B2がオロハネ25-554、8号車のA2がオロネ24-501、7号車の食堂車がスシ24-507、6号車のロビーカーが、オハ25-504であった(B寝台に限っては60%程度しか乗ってない様だ)。本当はこのブログの記事UP時点では北斗星開業10周年になったこの記事で「北斗星」の事を色々書きたかったけど長くなりそうなので単独記事として翌々週の月曜日に特集としてUPする予定です。

 

やがて郡山(20:04-06)を発車すると退屈したので6号車のロビーカーへ行くがグランシャリオの中を通るとディナー2回目が始まって約40分しか経過してないのにゲストは3名のみ(全員和食懐石膳)で幾ら平日木曜日の晩だからといってこれは少なすぎる?。6月は北海道観光にとって繁忙期ではないけど観光シーズンなのだが団体80名あまりの乗車が関係しているのだろうか?自分は下り北斗星に乗るのは休日前日が殆どなのだがかくいう自分も最後に北斗星のディナータイムを利用したのが1994年か1995年なので偉そうな事は言えないけど北斗星人気が落ち着いたのは確かなのかも知れない。

 

ロビーカーも空いており、一番グランシャリオ側の席(公衆電話側)が空いていたので座るとちょうど福島(20:42-44)に入線するところだった。2回目のディナータイムはゲスト3名、全て和食懐石膳だったので早めに終ったのだろうか21時を少し回った頃にグランシャリオのアテンダントから呼ばれて2人用のテーブルに付いて早速瓶ビールとソーセージ盛り合せを注文。前にどこかに書いてるけどJR東日本のステンドグラス風のランプシェードは相変らず眩しいけど調光式だとよいのだが。喉の渇きは収まったのでウィスキーに切替えてピザをオーダー、やっぱり北斗星のパブタイムは寛げるから嬉しい。

 

列車は仙台(21:42-44)を発車して岩切駅を通過したくらいに会計を済まして個室に戻るが久々のパブタイムに満足。早々にベッドへ入ったけど以下は就寝中の停車駅と時刻、盛岡*(23:54-56)・青森*(2:24-31)・新油川信号場*(2:38-39)・函館(4:52-58)・森(5:44-44)「*は運転停車」。目が覚めたら石倉~落部(時刻にして05:57頃)の噴火湾沿いを走っており、急いで洗面&歯磨きetcを終わらせて着替えてからロビーカーの順番待ち席に座り、Grande ChariotのMorning timeを待つ。先客1名は同じスーツ姿で朝の挨拶をしてから待つと先客氏はよく見ると北斗星のネクタイピンをしていたので鉄道ファンか?。

 

お互いに私服ならプライベートな旅なので声をかけたりするかも知れないけど仕事が絡む旅だと思うので自分も敢えて聞かなかった。八雲(6:10-10)に停車しながら待つと6:30少し前に食堂車スタッフから呼ばれてパブタイムの時と同じ席に座り、和朝食と食後に別会計のコーヒーを注文。長万部(6:35-35)を発車して熱いお茶を飲みながら待つとすぐに運ばれて来たので味噌汁を一口啜ってご飯を食べるといつもの安定の美味さ。おかずもいつもの美味さで腹ペコの胃に収まると食後のコーヒーを飲みながらJR東日本のスシ24は夜より朝の方が向いているように思える。

 

逆にJR北海道のスシ24は夜向きで朝にはやや重たい感じがすると睨んだのであるが朝だとステンドグラス風のランプシェードは眩しくないし、個人的な好みの一言で終らせておこう。朝の混雑する時間帯ゆえ会計を済ませて個室へ戻る事にした。そういえば今回はED79(A111)とDD51重連総括(A103「前ソ」+A107「次ソ」)の機関車番号は確認してないけど先頭には電源車が連結してるので青森~函館間以外では無理なので諦める事にしよう。個室に戻ると礼文~大岸~豊浦の海岸線沿いを走り、洞爺(7:06-06)を発車すると下りの寝台特急撮影地で有名な北入江信号場~有珠のS字カーブを通過。

 

伊達紋別(7:18-19)を発車すると噴火湾が近付き、北海道では一番海に近い駅として知られる北舟岡(7:22)を一瞬に通過して後ろに去る噴火湾を眺めていたら対岸にうっすらと渡島地方のランドマークでもある秀峰駒ヶ岳が見えた。陣屋町本輪西駅では建設中の白鳥大橋が近くに見えて来たが完成すれば道内で一番高い橋になるため何回見ても迫力がある。因みに陣屋町駅はJR貨物の貨物駅だが、JR北海道の2分目ダイヤグラム北斗星の動力車乗務員運転時刻表にも時刻が掲載されてるため、使用したけど旅客会社の駅間では崎守~本輪西間になる。

 

室蘭や母恋から来る室蘭本線・支線の線路と交わると五稜郭から長々と続いた非電化区間も終って電化区間となる東室蘭(7:37-39)に到着。二分停車なのでホームに降りて気温を確認すると東京に比べて涼しく爽やかだけど昼間はもう少し気温が上がりそうな予感だけど流石に北海道、湿度が少ないのがいい。そうえば今朝グランシャリオの朝食待ちの際にお見かけした北斗星のタイピンでネクタイを止めていた人が東室蘭で下車した。モバイルノートPCが入るようなハードケース(アタッシュケース風)にサラリーマンがよく使う鞄を持っていたのでこのまま勤務先まで直行なのかな?。

 

自分もブルートレインで寝て勤務先直行は何回もあるけど例え車内で完全熟睡したとしても独特の時間差といきなり現実の世界(社会)へ叩き込まれるのはいい気持ちはしない・・・北斗星タイピン氏に幸あれ。北斗星3号は電化区間に入ると車窓からの見どころは幌別駅先から登別駅手間の海沿いと白老~社台の社台ファーム(競走場の牧場)と樽前山くらいしかないが、出張先で使うプレゼンテーション企画資料を見直していると登別(7:53-54)に到着した。車内販売で買ったホットコーヒーを飲みながら夜行列車の中で仕事をするなんて個人的・趣味的には邪道なのだろうけど。

 

邪道でも不謹慎だろうが、ただボケーっと過ごす時間と違って時間の経過は早く、苫小牧(8:23-23)に到着すると次の駅が下車する南千歳駅なので仕事は止めて下車準備をしていると南千歳駅到着の案内放送が流れてきた。実は南千歳駅の改札から出るのは初めてで(旧駅・千歳空港駅ならあり「1992年7月1日から南千歳駅へ改名された」)楽しみではあるけど「北斗星3号」は定時8:44に南千歳駅へ到着してタクシー乗り場から出張先へむかった。

       ★★★★★Memories of the night train★★★★★