夜行列車の想い出

現在ではサンライズ以外廃止になった定期夜行列車だけど過去の夜行列車・想い出乗車レポートと夜行列車に纏わる懐かしい夜行列車ブログです(1975年以降から)

Twilight Express(SA2)後編

『先週からの続き 後半です』

1997年7月25日(金曜日)、富山駅を16:20に発車した臨時寝台特急トワイライトエクスプレス」は岩瀬浜方面の富山港線の線路と分かれて滑川駅の手前から富山湾が、見えてきた。北陸本線から富山湾が一望出来る場所は意外と少なくて実際に海の近くを走る区間は僅かである。国鉄時代はもっと海がよく見えたのだがJR後は周囲に工場や建物が増えて富山湾への眺望はあまり期待できないのが残念。何気に車窓を眺めていたら黒部川橋梁を渡るがこの川の上流は黒部五郎岳に水源があり、黒部湖の黒部ダムを経由して欅平からの鐘釣温泉から宇奈月温泉を経て日本海に注いでいる河川である。

 

ラグビーボールみたいな形のスイカで有名な入善の街を通り、泊駅の先から待望の日本海沿いを走り海に近いので嫁や子供から声が上がったけど晩夏や早秋ならこの辺で黄昏タイムの落陽がみれたのに何とも恨めしい。越中宮崎~市振の境川橋梁が県境で新潟県に入った・・・大阪、京都、滋賀、福井、石川、富山、そして新潟県で7府県目に入る。この先も日本海を見ながら走り、トンネル区間が増えると昔から難所で有名な親知らず子知らずだ。列車からではトンネル区間なので眺める事は出来ないけど名称の由来を家族に説明していると海の上に北陸自動車道が走る親不知駅を一瞬に通過。

 

展望風景に右側と左側の3方向の景色を目で追うのは結構忙しくて疲れてくるがこんな経験は滅多にできないので缶ビールを飲みながら大いに楽しんでいる。上流から翡翠が流れてくるらしい姫川を渡ると大糸線の線路が近付いてくると糸魚川駅を通過すると敦賀~南今庄デットセクション(DC1.5kV⇒AC20kV「60Hz」)以来2回目のデットセクションを糸魚川~梶屋敷(AC20kV「50Hz」⇒DC1.5kV)で行う。展望席から見ていると金属の架線が絶縁樹脂に変わるので電気が流れてない死電区間がすぐに分かるがこの先、村上~間島でもで電源が変わり、これを子供に説明するのは難しい・・・中央地溝帯の説明など。

 

有間川駅から谷浜駅まで海沿いを進み、特にたにはま海水浴場のビーチは美しく、トンネルに入って出ると上越市の街中に入って直江津(17:42-45)に停車。直江津駅での特急退避はないけど前方パンタグラフの上昇パンタ目視チェックと乗務員交代である。直江津を発車すると柿崎から日本海が近付いて米山、笠島青海川鯨波と最高の海沿いロケーションの中を走ってややオレンジ色に染まった太陽を眺めたけど落陽タイムまでまだ70分くらいあるのに列車は海から外れて内陸部へ移動。柏崎や来迎寺を通過して宮内駅の手前で上越線と合流すると長岡(18:39-41)に到着した。

 

長岡駅の2分停車(売店の位置は知ってるので前もって移動)で売店にて缶ビール、緑茶、ジュースを買い込んで少し早いけど夕飯タイムにする。敦賀駅で購入した越前かに寿し、笹すし、四季の華、あなごすしの4種、嫁が選んだのは豪華幕の内弁当、子供は越前かに寿し、自分は笹すしを旅前から駅弁本を見ながら選んで2週間前に敦賀駅の塩荘に電話して乗車口まで運んでくれる事を確認して予約した。あなごずしは3人で分けようと思って購入。早速僕と嫁はビールで、子供は緑茶で乾杯して夕飯のスタートであるが3人で食べ比べる。

 

自分は笹すしだけど笹に包まった鯛と鱒の2種類が入っており、金沢駅にも似た様な駅弁があるけど意外と美味くて初めて食べたけど大当たりだった。嫁に笹すしの鯛と鱒を持って行かれた自分はあなごずし(穴子の押し寿司)も食べたけどこちらも美味しく食べて嫁と子供も食べたけど柔らかくて味付け最高との事でした。駅弁4個の総額は3,900円でプレヤデス弁当がお茶代を除くと3個で4,170円なので敦賀駅手配の駅弁の方が安くて満足できたのがお分かりであろう。長岡を出ると見附、東三条を通過するが海から24~25㎞くらい離れているため新潟平野に沈む落陽を家族3名で拝んだ。

 

海に沈むシーンは見れなかったけど空が茜色に染まって沈む太陽は凛々しく、今日の終わりを告げてくれると同時に少しずつ闇が迫って最終的には漆黒の闇になった。こうなると展望も魅力も半減するので車内配信で流している映画を楽しむ。車内放送で本日最後の停車駅でもある新津到着が聞こえてきた。新津を発車すると明朝の洞爺まで停車駅はないとの事だが実際には多くの運転停車がある。鶴岡、酒田、秋田、大舘、青森、蟹田五稜郭がそうで運転士や車掌の交代や機関車交換に上り列車の交換やシャワールーム清掃スタッフ乗降など。

 

列車は速度を落とすと昔から鉄道のジャンクション(信越線・羽越線磐越西線)である新津(19:19-34)に停車。特に退避はないけどこの先、村上~間島のデットセクション(DC1.5kV⇒AC20kV「50Hz」を控えており、下りトワイライトエクスプレスにとってはセクション手前の停車駅が新津(新潟発の特急は新潟駅坂町駅で行う)なのでABBと交直切換器の動作試験を行うためです。因みにセクションを終えると運転停車鶴岡駅で前方のパンタを降下させ、目視確認後に目的地に向かう。新津停車中に家族3名は順番にシャワータイムを楽しんだ。

 

明日の深夜というより未明3時から4号車のサロンデュノールで青函トンネル説明会に参加するため早寝も正解だがまだ早いので子供を連れてサロンデュノールへ親子で公式グッズのトワイライト・オリジナルTシャツを着て遊びに行く事にする。空いてるスペースに子供と座って親子で鶴岡駅停車の事を話していると昼間もサロンで見かけた子供が食いついて来た。僕が説明するのでは大人気ないので息子に説明させると自分が言いたい事を全て代弁(デットセクション後のEF81前部パンタ降下など)してくれたが運転停車の事は意外と知らない人が多い。

 

天狗になった息子は鶴岡から五稜郭まで7駅の運転停車とその理由を説明したけど自分がフォローするように大阪行き4002列車「特急日本海2号」とのすれ違い退避の件も付け加える。列車は村上~間島のデットセクションを通過して鮭の遡上で有名な三面川橋梁を渡り、Twilight Expressは府屋駅鼠ヶ関駅間を走り、国道7号線をアンダークロスすると県境になるのは普段の沿線列車撮影で知っていたのでまもなく新潟県から山形県に入ります、トワイライトエクスプレス陸奥(みちのく)路に入り、終着札幌まで残り秋田県青森県、そして北海道のみとなりましたと報告。

 

やがて列車は速度を落として鶴岡駅へ接近、鶴岡駅に到着すると1番線ホームを見てください・・・トワイライトと同時刻に入線する筈ですと説明するとEF81一般色に牽引された24系24形の4002列車「日本海2号」が入線(21:36-37)。同時に8001列車「トワイライト」は鶴岡(21:36-37)も到着。新潟支社羽越線2分目ダイヤグラム50%縮小コピー版だと発車は同時の様でも8001レは37分00秒発、4002レは37分30秒発なのでトワイライトが先に発車した。4002レはこの先で迎え撃つデットセクション通過のために各種換器の動作試験もあるので運転士は緊張している事だろうなど色んな話をプラスしてご説明。

 

分かれる時に色んな事を訪ねられたが運転停車の詳細時刻などは時刻まで教えてこの先に女鹿~小砂川で上り「あけぼの」と離合、羽後岩谷~折渡で「日本海4号」と離合、羽後飯塚駅で「上りトワイト」とすれ違い、五稜郭駅停車中に「北斗星1号」に抜かれるなどの情報も特別に放出。色々質問も受けたが何でそんなに知ってるの?の問いには全国に鉄道ファンの知り合いや友達がいて情報共有のネットワークを作っているから。一番困ったのは展望スイートどうやって取ったの質問にはコネとか言えないので毎日通勤時と昼休みに退勤時など駅を見る度空席探しをしてもらったでお茶を濁してしまった。

 

もう21:45を過ぎているが、盛り上ってる中自分たち親子はお先に失礼して1号車1番に戻ると既に嫁は寝ていて子供は空いてるベッドに寝てしまった。おいおいお前は補助ベッドだろうと愚痴を言いながらソファーをベッドに設営して横になる。パブタイムだけでも行こうかと思い悩んだが青函トンネル説明会にも行きたいので早寝に決める。今日は一日乗り通しで疲れたというより楽しかったが目まぐるしく変わる展望風景や左右の車窓を目で追ってやはり疲れているらしく、すぐに寝てしまった様である。以降は就寝中の運転停車駅と詳細時刻。

 

酒田(22:00-02)・秋田(23:30-32)・大舘(0:57-58)・青森(2:08-18)。さっき寝たと思ったら携帯電話の目覚ましアラームで目が覚めた。列車の進行方向が変わっており、展望窓の先にはED76-551が連結されているのを確認して息子を起してから4号車のサロンデュノールへ行きシャワールームやモニターテレビ側のソファーに息子と座る。昨夜サロンカーで話した若者やご家族もいて朝の挨拶をしていると蟹田(2:46-47)着、貨物輸送繁忙期なら9000番台スジの臨貨とクロスするが本日はなにもなし。やがて函館運輸所の車掌さんが登場して青函隧道の説明会が始まった(青函隧道は3:07に入った)。

 

紙芝居とパネルを使った説明会の後はクイズ大会で僕は黙ってて息子にアドバイスを送るだけで見守っていたら真っ先に手を上げて正解、記念に函館車掌所オリジナル記念乗車証である。しかしよく見るとトワイライト限定ではなくて北斗星、トワイライト、日本海はまなす、海峡、はつかりのマークが描かれており、一番大きな写真はキハ281系スーパー北斗であった。最後に車掌が青函トンネルを出ると北の大地、北海道の風景画が見えますと吹いちゃったので私が突っ込みを入れる。青函トンネルの函館側出口は短いシェルターで覆われたコモナイ川橋梁を渡り、更に第一湯の里トンネルへと続くため、函館側出口は青函トンネルではなく、第一湯の里トンネルですと説明。

 

よって青函トンネル函館側出口を出ても1.2キロ進まないと外の風景は見れない事をバラすと車掌は困った顔をしていたがプロの車掌がいい加減な説明では困るのである。列車は無事に青函トンネルじゃなくて第一湯の里トンネルを出ると流石に朝の早い北海道でも4時前ではまだ夜明け前なので暗い(函館日の出時刻4:26)。車内は記念オレンジカードの即売会に変わっていたけど東京近郊区間ではイオカードでそのまま改札に通れるシステムなのでオレカは買わずに知内駅(現湯の里知内信号所)通過を確認して個室に戻ると嫁はまだ爆睡中であった。

 

補助ベッドをソファーに戻して息子とサロンの自販機で買ってきた缶飲料を飲みながら無線機のCタイプ下り・入換・上りをスキャンしてると運転停車五稜郭(4:29-42)に到着、運転士と車掌の通話が一瞬聞こえた。そしてやや遠いけど1列車「北斗星1号」の無線機感銘テストが聞こえて続くように「1列車函館発車」が聞こえると次に函館駅を4:32に発車した「北斗星1号」がDD51重連に牽引されて本線を走り去って行った。我がトワイライトはED76-551が切り離されて久々の展望車になったが8001レも無線機の感銘テストを入感すると続いて「8001列車、五稜郭発車~」が聞こえてゴトリと動いた。

 

外はすっかり明るくなって七飯駅を通過すると渡島大野(現新函館北斗)駅や仁山駅経由の線と藤城線を分かれて下り特急は高速規格のコンクリート橋が続く藤城線を進む。途中姫リンゴの林などを見ながら5個のトンネルを出ると仁山経由の線路と並走して開けると大沼国定公園の小沼沿いを進むが霧がかかっており、幻想的だったけど駒ヶ岳は中域の輪郭しか分からなかった。大沼駅大沼公園駅を一瞬に通過したけど上りのトワイライトは砂原線経由なのが興味深いところ。右に大沼、左に小沼を見ながら駒ヶ岳駅からは大小のS字・逆S字カーブを登って降りると森駅を通過。

 

まだ5時半なので子供に寝るかと問えば展望景色を見たいと言い出し、それでこそ鉄ちゃんだ!道南非電化区間で特に豊浦まではの風光明媚な風景を専用展望席で見ない手はないのである。森駅からは内浦湾(噴火湾)が車窓右側に見えるため、外せない車窓ポイントで特に石倉~落部野田生は海岸線高台を走るので天気がよくて空気が澄んでいると長万部方面に羊蹄山が見える日もあるけど夏は無理。しかし海裾まできれいに広がる駒ヶ岳が後方へきれいに見えて満足。流れる景色をみて子供とワイワイ話してるので嫁が目を覚ました。僕と子供が未明3時少し前から活動してた事は知る由もない。

 

長万部駅くらいから上りのDD51牽引やDD51重連牽引貨物と連続して3本(3060レ・3080レ・4092レ)通過して豊浦駅(6時半)を通過した頃にモーニングコーヒーと新聞が運ばれてきたが息子はミルクティーである。朝のお茶を楽しんでいると列車は昨夜新津以来の扉が開閉する停車駅でもある洞爺(6:43-44)に到着。洞爺湖洞爺湖温泉最寄駅だが1号車や2号車から下車した乗客は皆無であったがやはり札幌直行が多いのかな?。洞爺~稀府間は単線区間なので北入江信号所を通過して昭和新山有珠山が見えてくると伊達紋別(通過)も近く、北海道で海から一番近い駅でもある北舟岡駅も通過。 

 

稀府、黄金、崎守、陣屋町、元輪西室蘭本線・非電化区間の旅もそろそろ終わりで室蘭駅からの室蘭支線と合流すると東室蘭(7:17-19)に到着した。シャワーを浴びて化粧も終った嫁の支度も完了して7:30に予約した朝食を食べに3人で3号車のダイナープレヤデスへ行き、朝食券を渡すと4名用テーブルに案内してくれて3人とも和朝食なので一膳一膳お替り用のお櫃が付くので朝食にしては量が多い。列車は登別(7:36-36)に停車したので子供に羆がホームにいるぞと脅かすと熊の剝製でしょ?と言われてしまい、何かの本で読んだそうだ。

 

僕も息子も3時少し前から寝ずに活動してるからお腹はペコペコ、列車は苫小牧(8:07-07)に到着したけどご飯もお替りしてお腹一杯。自宅の朝食はあまり量を食べない息子が完食したので嫁は驚いてたがデザートのメロンもコーヒーも美味しく頂いて会計を済ませて個室に戻る。部屋を片付けて下車の準備だけして3人で最後の展望を楽しんでると突然来客が・・・車掌がこの旅はトワイライトエクスプレスのスイートにご乗車くださいましてありがとうございますとお礼の挨拶に伺いましたの事。列車は南千歳駅(8:27-27)を発車すると千歳線を快調に飛ばして9:06に札幌駅5番線ホームに到着した。

 

21時間4分の旅だったが終ってみたらあっという間でした・・・子供はもっと乗っていたかったとその気持ちも分からなくはない。後編がえらく長くなってしまいました。

         ★★★★★Memories of the night train★★★★★