夜行列車の想い出

現在ではサンライズ以外廃止になった定期夜行列車だけど過去の夜行列車・想い出乗車レポートと夜行列車に纏わる懐かしい夜行列車ブログです(1975年以降から)

寝台特急 瀬戸(B寝台)

1996年10月29日(水曜日)、 東京駅9番線ホームで寝台特急「瀬戸」高松行きの入線を待っていた。高松ならANA631便(羽田7:50⇒9:00高松)で何とか朝一番で到着出来るけど高松空港から高松市内中心部までタクシーで30分、バスで45分かかるため、最短到着が9:35~9:40くらいになるので飛行機始発便では間に合わず、寝台特急「瀬戸」を使う事になった。瀬戸の時間帯だと既に駅弁は売り切れている可能性もあるので20時まで残業して職場近くの中華料理屋で夕飯を済まして駅へ向かう。特急・B寝台券は禁煙車の車両中ほどの下段を希望すると7号車12番下段で発券してもらい、改札を入る。

 

東京駅9番線ホームに上がり、「瀬戸」7号車の乗車目標に並ぶと田端運転所(品川運転所常駐)のEF65-1111(実際は「出雲3号」の牽引機になる)が20:46に「瀬戸」の客車を牽引して入線。すぐに扉が開き、7号車のオハネフ25-137に乗り込んで指定された下段寝台に鞄を置いて1号車まで歩くと普段は田端常駐のEF65-1029が「瀬戸」のマークを付けて連結されていた。田端運転所・A61仕業で以前は上野発着の旅客列車には田端常駐組を、東京発着の寝台列車(瀬戸・出雲1.2.3.4号・銀河)は品川運転所常駐組に分けて使用していたが現在では上野発着のPF牽引定期列車は消滅したので区別してない様である。

 

EF65-1029はパンタグラフ下枠交差式でない大きなパンタで尾灯の上に通風孔があってスノウプラウが装備されたPFらしいPFで赤い出雲のマークが似合っていた。A61は高松まで行って上り「瀬戸」で戻って来る運用なので10月31日には戻ってくるため、これは早起きしてでも仕事行く前に浜松町~田町周辺で撮影しようと考えていたら「瀬戸」発車5分前なのでホーム売店で飲み物などを購入して車内に戻った。下りの「瀬戸」乗車は約3年前の1993年以来だと記憶するが、久々の下り「瀬戸」に乗ってニンマリしていると東京駅を21:00に発車。何回東京~浜松町をブルートレインに乗ってもやはり通勤電車から見る景色とは違って見える。

 

缶ビールを飲みながら都会のオフィスビルの夜景を見て過ごしていると車掌が来て特急寝台券と乗車券を呈示して早いけど浴衣姿に着替えてから缶ビール2本目に移行した。多摩川を渡って川崎を一瞬に通過すると約8分で横浜(21:23-24)に到着した。自分が始めて乗った(1977年10月)ブルートレインが「瀬戸」なのであれから19年の月日が経過しているし、やはり「瀬戸」という列車に対して想いが無いといえば嘘になる。当時の「瀬戸」は東京19:25発の宇野6:03着で時間帯も違うし、宇野から宇高連絡船5便に接続して日本一朝早く終着駅に到着するブルートレインだった。

 

ブルートレイン独特の旅情というか浪漫を楽しみながら初めて「瀬戸」に乗った1977年10月の事を思い出しながら約19年前をフラッシュバックしてあの頃が一番楽しかったし、夜行列車の本数も多くて夜行列車旅も充実していた。19年間で東海道本線を走るブルートレインで消えたのは「安芸」「紀伊」「いなば」「みずほ」「あさかぜ1・4号」の5系統と電車寝台の「金星」だけだが・・・なんて考えていたら小田原駅を通過。仕事での出張移動なのに頭の中はすっかり鉄道趣味100%しちゃって楽しんでいるが、まぁいつもの事である。いつもの玉川橋梁(早川~根府川)と白糸川橋梁(根府川~真鶴)を通過したのを確認してから就寝。

 

就寝中の停車駅と時刻は以下参照・・・熱海(22:24-26)・富士(22:56-57)・静岡(23:23-25)・浜松(0:22-24)・名古屋*(1:39-42)・米原*(2:41-42)・大阪*(4:05-08)・姫路(5:19-21)・「*印は運転停車で運転士交代と荷物扱いの停車」。昨夜は熱海到着前に寝てしまったので自然と岡山到着前に目が覚めたが喉がカラカラなので岡山駅(6:28-30)での2分停車を利用して「ジョージア・ゾット」という甘くないビターテイストの190g缶をホーム自販機で購入。岡山を発車して宇野線に入り、本四備讃線に乗り入れると児島(6:52-54)に停車して瀬戸自動車道の横を走り、鷲羽山トンネルに入ってトンネルを出ると上が高速道路で下がJRの瀬戸大橋にかかる。

 

車窓下に田ノ浦漁港が見えるといよいよ瀬戸内海を渡り始めるが、瀬戸大橋は途中、櫃石島、岩黒島、羽佐島、与島、三つ子島、無人島を含む大小五つ島を経由するが田ノ浦漁港と櫃石島の間に岡山県倉敷市下津井と香川県坂出市櫃石の境があって櫃石島香川県なのである。キラキラと眩い朝の瀬戸内海の海が光って見えるが、瀬戸大橋の全長は12,300m(海峡部9,367m)なので高速運転をしている寝台特急「瀬戸」からだと思ったより短く感じた。列車は四国の地上に近付き、瀬戸大橋記念公園の瀬戸大橋タワーが見えてくると四国に上陸して瀬戸大橋線から予土線丸亀駅方面と予土線坂出駅方面に分かれる三角デルタ線を通過。

 

進行方向右手に富士山みたいな山(讃岐富士「飯野山」)が見えて来ると寝台特急「瀬戸」は四国に入って最初の停車駅でもある坂出(7:14-16)に到着した。自分もそろそろ下車準備を行っていると列車は進行方向右に高松運転所が見えて高徳線の線路が近付いて寝台特急「瀬戸」は定時7:35、高松駅へ滑り込んだ。時間があるので駅構内の讃岐うどん屋で釜揚げを食べてからタクシーで出張先へ行く。さて本文上から11行目にも書いてあるように翌日はいつもの出勤時刻より大幅に早く自宅を出て大森~大井町のフェンスが低い公園横よりEF65-1029牽引の上り「瀬戸」を無事に撮影してから職場へ向かったのは言うまでもない。

 

        ★★★★★Memories of the night train★★★★★