夜行列車の想い出

現在ではサンライズ以外廃止になった定期夜行列車だけど過去の夜行列車・想い出乗車レポートと夜行列車に纏わる懐かしい夜行列車ブログです(1975年以降から)

寝台特急 富士(B1)

1996年5月31日(金曜日)、小倉駅4番線で上り寝台特急「富士」を待っていた。実は北九州市小倉区の出張が終り、東京駅行きの最終新幹線「のぞみ28号」にも間に合うし、飛行機なら20時まで羽田行きのフライトがあったけど翌日は土曜日で休みなのでブルートレインで帰ろうかと鉄の虫が疼き始めていた(苦笑)。仕事は17時で終わったため、早めに小倉駅みどりの窓口で先発「富士」と次発「はやぶさ」の1人用B個室ソロの空席を調べてもらうと「富士」のハコ(1)に空席があるので真っ先に寝台特急個室券を押さえてもらい、乗車券は都区内まで頼んで一緒に支払い。

 

飛行機(福岡⇒羽田)だと25,350円、富士だと21,870円で3,480円分JRの「富士」の方が安く、飛行機だと博多駅までの乗車券1,090円や福岡市営地下鉄220円、羽田空港から浜松町駅までのモノレール代やJR山手線・京浜東北線の運賃も別途掛かるので格差は広がるばかりで何と5610円の差で驚き(今夜はソロで豪遊するぞw)。「富士」の発車は19:10なので夕飯を食べるにはまだ早く、やはり駅弁だなと思い小倉駅前にある百貨店・井筒屋に出店している折尾駅の駅弁(東筑軒)売り場で"かしわめし・おりお(900円)"という副菜が沢山付いた豪華版のかしわめしを購入しておく。

 

家族への土産でもある昆布漬け辛子めんたいと銘菓玄海巻を買ってからホームに入ってお疲れ缶ビール2本をホーム売店で求めて「富士」12号車乗車位置で待っていると大分運転所のEF81-413が富士のマークを付けて南宮崎からの寝台特急「富士」が19:09に入線した。早速12号車(オハネ25-1001)に乗ると2番ソロは2階個室だが進行方向を向いて座れる仕様だけど台車の真上なので揺れと騒音が厄介だがラスト1部屋のソロなので贅沢は言えない。発車(19:10)と同時に缶ビールを開けてひと口ごくりと飲むと美味い・・・寝台特急車内で飲むビールは最高である。

 

関東であれば発車時刻の19:10は夏至でも日没時刻だけど北九州市の日没時刻は19:22なのでまだ明るいのがあり難く、夕日が綺麗で今日も無事に終わりそうだ。ビールのツマミは小倉のスーパーで見つけた1人分くらいにちょうどいい、辛子明太子の切れ子で食べやすく、本場だけあって美味い。小倉から7分で門司(19:17-18)に到着するとすぐに発車だが機関車交換しないので停車時間が僅か1分であった。AC20kV(60Hz)からDC1.5kVへ電源切替すると全長3,604mの関門トンネルに突入して下り勾配25‰を駆け下りてから海底部分を走り、上り勾配を駆け上がると下関(19:26-31)に到着。

 

下関駅では真っ先に降りて明日の朝食になる駅弁(Jダイナー謹製の高くて美味しくない弁当は避けたい)を買いに売店へ行くとふくすしとフグ鰭酒を購入してから牽引機確認しに先頭へ行くと下関運転所のEF66-44が唸っていた。下関を発車すると小倉のデパートで購入した折尾駅の「かしわめしおりお」を夕飯に頂く。通常のかしわめしに海老・鮭・玉子焼・蒲鉾・ウィンナー・巻き昆布などのおかず類が、豊富なデラックス版である。飛行機との差額5,610円で夕飯代と朝食代に飲み物代と土産代がチャラになってラッキー。

 

外は漆黒の闇が迫り、2階のソロ個室から車窓を眺めていると宇部(20:07-08)に到着すると纏まった乗車があり、しみじみ考えてみると出張で「富士」に乗るのは初めてで過去に「あさかぜ」や「みずほ」は仕事で乗った事があるけど更に出張で九州へ行ったのも初めてとなる。久々に乗るオハネ25-1000番台のソロは自分にとって一番優れているソロだと思う(他のソロにない、コンセント・デジタル目覚まし時計があって読書等も調光式でテーブルも大きくてゴミ箱上のミニテーブルも重宝する)けど何たって使いやすい。下関駅で買ったワンカップのフグの鰭酒を飲みながら夜汽車気分も盛りあがる。

 

列車は防府(20:41-42)・下松(21:10-11)・柳井(21:32-33)に停車しながら自分も浴衣姿に着替えて寝台に横になりながら湾曲した窓から星空を眺めて時おり聞こえるEF66のホイッスル(汽笛)とレールと車輪が、刻む走行音を聞きながら広島到着前に寝てしまった様だ。就寝時間中の停車駅と時刻は以下のとおり。(0:0広島(22:31-35)・尾道(23:46-48)・福山(0:03-0:04)・岡山(0:45-47)・*大阪(2:55-57)・*米原(4:20-22)「*印は運転士交代の運転停車」名古屋(5:18-21)。米原駅では電源車隣の荷物車の荷扱いの運転停車も含む。

 

朝は豊橋通過くらいから目が覚めたが8時間近く寝たのですこぶる気持ちのよい朝であるが浜松(6:31-33)から起きて活動開始する。9号車のロビーカー(オハ24-704)へ行って缶コーヒーと缶入りお茶を購入して個室に戻ってコーヒーを味わった後に昨夜の下関で購入した「ふくすし(800円)」で朝食にした。朝から寿司ってのも変だけど自分的には嫌いじゃないので特に違和感はなく、朝から美味しく頂いた。列車は静岡(7:31-32)を発車すると通路側の窓から由比~興津~蒲原周辺の海を眺めて富士川駅を通過すると富士川橋梁を渡るが肝心の富士山は頂上以外は雲に覆われていたが富士駅(7:59-58)へ定刻で入線。

 

富士駅を発車すると身延線と分かれて海から割りと近い所を走るけど海は全く見えずに沼津駅(8:16-17)に停車して御殿場線と別れると富士山バックに鉄橋アングルを真横に撮影できる黄瀬川橋梁を渡って三島駅を通過。三島~函南にある竹倉温泉に近い富士山バックの撮影地でも富士山は雲を被っており、見えないのが残念である。函南駅を通過して全長7,804mの丹那トンネルを出ると熱海駅(8:34-35)を発車した。湯河原駅通過から相模湾が見えるので通路側の窓に移動して海と撮影地を確認する。真鶴直線、江之浦、白糸川橋梁、米神、玉川橋梁、S字カーブの根ノ上踏切など。

 

小田原駅を通過すると東海道線の旅客線と貨物線に別れるので個室に戻ってすれ違う貨物や追い抜く貨物の牽引機を確認していると大船駅の手前で車掌が個室キーの回収に来て戸塚の先で貨物線は別ルートへ分かれて旅客線を行く寝台特急「富士」は清水谷戸隧道に入り、横浜駅(9:35-36)に入線。下車準備を終えてネクタイをしてスーツを着ると旧品川運転所付近を通過して気が付くと車掌の長い到着放送が聞こえて定刻9:58に東京駅9番線ホームに到着した。今日から6月だが9日後には賞与支給日なので帰宅する足取りは軽かった。

        ★★★★★Memories of the night train★★★★★