夜行列車の想い出

現在ではサンライズ以外廃止になった定期夜行列車だけど過去の夜行列車・想い出乗車レポートと夜行列車に纏わる懐かしい夜行列車ブログです(1975年以降から)

寝台特急 あけぼの(B1)

1996年5月5日(日曜日)、ゴールデンウィーク後半の下北半島を中心としたドライブ温泉宿旅行を終えてレンタカーも返却して青森駅で上野行きの寝台特急「あけぼの」入線を家族3人で待っていた。明日で長かったゴールデンウィーク10連休もいよいよ終わりになるのが残念で過ぎ行く時間の経過がとても早かったがいよいよ明日で長期連休も終わりである。発車時刻の19分前に上野方へED75を連結したままDE10が「あけぼの」編成の回送が入線すると扉が開いて9号車のオハネ24-554へ乗り込む。

 

実は岐路の「あけぼの」は悪評高き独房みたいな狭いカプセル状のソロである事は家族に帰りの一人用B寝台個室は狭いからねとは言ってはあるのだが当日乗車してどんな状況になるのか楽しみでもあった。前の家族旅行で乗った「はやぶさ」「富士」「北陸」ソロでは子供と嫁は2階の評価が高かったので2人には2階個室の階段で隣合わせの6番(2階)と10番(2階)の指定券を渡して自分は余り物で少し離れた15番(1階)で割り振っておりいよいよ狭いソロとのご対面であるが取り敢えずは僕の個室に荷物だけ置いてテンキーで鍵を掛けてから嫁は飲み物購入、僕と子供は機関車チェックに急ぐ。

 

先頭の機関車に近付くといつものED75-700番台と違うのでもしかしてオリガマ(オリエントサルーン色の専用機関車)でゴールドライン3本身に纏った青森運転所・東派出所のED75-711だった。711の「あけぼの」はまだ2~3往復走ってる頃に福島~黒磯間で何回も撮影しているけど福島運輸区から青森東運転所へ転属してからは本当に久々の対面である。9号車15番ソロ(1階)へ戻ると嫁が何でこの個室がこんなに狭いのって文句をいいながら切れていたが嫁も子供も北斗星はやぶさ、富士、北陸のソロは経験済みだけど信じられないくらい狭い閉所恐怖症には耐えられないこのソロは初めてなのだ。

 

到底狭い個室に3人入るのは無理なので暗証番号による部屋ロックのやり方をレクチャーして偶々通った車掌に指定券と乗車券を見せて30分か40分くらい空いてるB寝台で家族一緒に弁当を食べたい旨伝えたら11号車の1番と2番を教えてくれたので青森18:01発車と同時に移動した。上り「あけぼの」の大館駅が19:16なので営業時間外なため、弁当の予約は出来ず、かといって秋田だと20:53着だと子供にとっては夕飯に遅すぎる時間なので青森駅で調達するが例によって予約専用の2段弁当「津軽路弁当(1030円」を電話で申し込んだ。

 

リンゴの産地らしく夕飯の飲み物にも変化をつけて僕と嫁は津軽リンゴワイン、息子にはシャイニー・アップルジュースで夕飯を済まして家族で車窓を見ながら談笑していると弘前(18:37-38)に到着。11号車の開放B寝台を撤収して各自の個室に戻って2階ソロの階段続きの6番と10番ソロの嫁と子供にインパネの操作方法と起きている時と寝る時の仕切りの使い方で居間と寝台の扱い方をレクチャーして注意事項も伝えてから明日朝は上野駅に6:58へ到着するから遅くまで夜更かししないように念を押して自分の個室15番へ戻ると大鰐温泉(18:49-49)を発車するところだった。

 

寝台特急「あけぼの」は大館(19:16-17)に到着したので6番ソロと10番ソロの様子を見に行くと嫁は狭いを連発していたが高い位置からの車窓には満足しているみたいで子供の部屋へ行くと個室内の証明を全て消して窓ガラスに顔をべったり付けるように夢中で車窓を目で追っていたが狭さは感じないようである。自分も5番ソロに戻ってやっぱり狭いなぁ~と思いながらも「あけぼの」ソロは出張の帰りに秋田からソロには何回も乗っているのでこの狭さも慣れたけど流石に全区間のフル区間乗車だとキツイ。狭いながらも開放B寝台と同料金で乗れるのは有り難いものである。

 

鷹ノ巣(19:35-35)に到着した頃に息子が様子を見に遊びに来たので狭い個室に2人で入って暫し話すが我々大人に比べて小柄な子供にはカプセルみたいなソロ個室は秘密基地みたいで上々との事で気に入ってるみたいだ。列車は東能代(20:00-00)や八郎潟(20:26-26)に停車しながら息子とCタイプ無線の「1002列車、発車~」を聞きながら色んな事を話して過ごしたら通過駅の井川さくら駅周辺で485系9B(下り特急白鳥?)とすれ違い、自分の個室に戻る息子を「早く寝ろよ」と一声掛けてから自分も個室で寛ぐ。秋田(20:53-55)に到着したのでペットボトル飲料2本と甘くない缶コーヒー買ってホームを歩いていると窓からこちらを見ていた息子と目が合う。

 

9号車に戻って6番と10番に好みの飲み物を配り、子供にはトイレ以外に個室から出ちゃだめだよと再度念を推して自分の個室に戻って浴衣に着替えてから寝台使用に切替えてから足を伸ばしながら車窓を楽しんでいると通過駅の四ツ小屋駅北上線経由の3017D(特急秋田リレー17号)とすれ違い、同じく通過駅の和田駅では33M(特急こまくさ33号)とすれ違うと大曲(21:46-47)に到着。帆立貝の紐を肴に青森駅で買ったワンカップの濁酒を飲んでいると酔いが回ってキハ100系を特急に使うのは如何なものかと考えていたら寝てしまったらしい。

 

就寝中の停車駅と時刻は以下のとおり・・・横手(22:04-06)・十文字(22:16)・湯沢(22:24)・新庄(23:22-37)・宇都宮(5:14-16)。起床したのは5時半くらいだけど深夜1時過ぎにトイレで目が覚めてデッキで様子を見てたら小牛田駅運転停車中で機関車交換中に上り寝台特急はくつる」が1:25くらいに通過して抜かして行くシーンを目撃してしまった。ダイヤグラムでは以前から小牛田駅で「はくつる」に抜かれる事は知っていたが直接見たのは始めてだ。すぐに戻って寝たけど昨夜は早く寝たのでよく寝れたけど着替えて寝台を一部畳んでから昨夜に秋田駅で購入したジョージア ゾット・すっきりビターテイストという190グラム缶を飲みながらマッタリと朝霧の車窓を楽しむ。

 

朝6時なので家族を起こしに回るとノック2回で返事があったが子供は既に起きておりどうやら寝てないのかも知れない。朝の歯磨きと洗面が終ると子供がやってきて陸羽東線の途中駅まで起きて寝てから朝は矢板~蒲須坂くらいには起きていたと白状したがお母さんには言うなよと釘をさしておく。やがて列車はヒガハスこと東大宮~蓮田の有名撮影地を通ると早朝なのに15名くらい撮り鉄集合で爆笑した。これは1002列車に人気の機関車が連結されてるに違いない。一緒にいた子供も驚いていたが早起きするけど一緒に撮影に行くかと誘ってみるが乗らない鉄道は論外といいたそうな顔をしているけど高校生からバリバリの撮り鉄に変貌する事を彼はまだ知らない。

 

大宮駅(6:31-31)を発車すると「あけぼの」はいよいよラストスパート区簡になり、長かったゴールデンウィークも今日で終わりと考えるとブルーになってくるのは大型連休最終日と同じなのだが今年のゴールデンウィークは前半は寝台車連結の「八甲田」、夕方は奥羽線青森口での上り夜行列車撮影などで、後半は今回の下北半島と一部津軽半島の旅だったが10連休なんてあっという間である。列車は東十条の撮影地を通過すると大人数の撮り鉄が集合してこれはもしかして95号機なのかも知れないが家族も下車準備が終って尾久駅の先で上り「はくつる」の回送とすれ違ったが番号こそは分からないけど普通の星ガマ81であった。

 

上野駅地平ホームへ向かうポイントを幾つも渡ると上野駅で定刻6:58に15番線ホームへ到着したのでホームを降りて大連絡橋へ行かず、そのまま真っ直ぐに行き止まりホームの先端まで移動すると物凄い数の鉄道ファンで近付くとやはり田端運転所のEF81-95であった。自分たちは山手線内回り電車か、京浜東北線北行電車かに乗り換えて自宅のある田端まで帰った。帰宅後に岐路の「あけぼの」ソロについて意見を聞いてみたら嫁は寝室としてなら問題ないけど起きている時間帯の座席としての環境が悪すぎるけど2階個室からの景色は素晴らしい、でもソロで上野⇔青森・全区間乗車は疲れるとの由。

 

帰路4時間くらいしか寝てない息子は往路に乗ったシングルDXより景色が見やすいとの事で概ね良好だったとの事。流石にあけぼの往復をシングルDXでは予算オーバになるので仕方がないよね。

 

             ★★★★★Memories of the night train★★★★★