夜行列車の想い出

現在ではサンライズ以外廃止になった定期夜行列車だけど過去の夜行列車・想い出乗車レポートと夜行列車に纏わる懐かしい夜行列車ブログです(1975年以降から)

北斗星トマムスキー(ES)

下記本件ブログは2019年12月で消滅する弊yahooブログで、2017年10月に紹介した内容を加筆修正して本ブログに再掲載となりますのでご承知願います(ブログ移行失敗による一部のブログ記事救済策)。特に印象に残った懐かしく、想い出深い夜行列車レポートを不定期で掲載しています。

 

1991年1月24日(木曜日)、の15:20頃から嫁と2人で横浜駅横須賀線上り10番線ホームで
これから入線する臨時寝台特急北斗星トマムスキー」の入線を遅しと待っていた。1990年の1月から北斗星の予備編成を集めて運転されたが、”夢空間”を編成に入れての運転は 1991年が最初であり、下りだと1/10・17・24・2/14・21・28・3/7・14が運転日なので1月24日に絞り、1ヶ月前の10時打ちは家内とクリスマス北海道へ行ったのでJR北海道プラザ東京支店に早期申し込みお願いしたら、SA2のデラックススリーパーで1番広く、1室しかないエクセレント・スイート(次回よりESと略)が簡単に取れて驚きだった。

 

夢空間のダイニングカーは予約なしのフリー(乗車日当日に車内で5000円2種のミニディナーを予約出来るらしい)だったので横浜駅に向かったのだ。尾久~東大宮操~池袋~品川~逗子~大船経由で回送『1991年1月24日乗車分、臨時寝台特急北斗星トマムスキー」の回送時刻★1/23尾久20:11(回9509レ)20:39東大宮操21:24(回9540レ)22:35品川』。★1/24品川13:10(回9741レ)14:04逗子15:02(回9010レ)15:31横浜』された「北斗星トマムスキー」が横浜駅10番線に入線したのは発車時刻の2分前である15:31なのはいささか時間に余裕がないけど15:27発の東京行き1490Sが発車すると6分後には成田行き快速1416Hが入線するから致し方ない。

 

1490Sが発車すると横浜駅10番線ホームではトマム行き寝台特急北斗星トマムスキー号入線の案内と停車位置案内に切り替り、ホームにいた「北斗星トマムスキー」目当てのギャラリーや偶々その場に居て珍しい列車が入線するシチュエーションに出くわした横須賀線・乗降り客が見守る中、無事に田端運転所のEF65-1020が北斗星トマムスキーのヘッドマークを付けて入線した。横浜駅から夢空間・3号車のデラックス・スリーパーに乗り込むのは自分ら夫婦だけなので否が応にもホームで横須賀線を待ってる乗客やギャラリーから注目を浴びて些か恥ずかしかったけど実は嬉しかったのである。

 

2分間の停車はあっという間に過ぎて定刻15:33に横浜駅を発車したけど景色を見る暇もなく、横須賀線を進み、ウェルカムドリンク(内容は北斗星と同様)と車掌の切符拝見改めが終わると15:43通過の新鶴見信号所から貨物線に入り、大井工場横から大崎駅脇をかすめて山手貨物線から埼京線に入り、新宿駅(16:08-09)に到着・・・(9010レは新宿駅から9009レに列番変更)。新宿駅ではスーペリアツイン(ST)のお客が二組乗車・・・我々はウェルカムドリンクの白ワインで乾杯しながらESの評価を夫婦でするが、バスタブ付きの2人用A個室だから狭い空間を使ってそれなりにはいい部屋だと思う。

 

嫁はインテリアが野暮ったく、ベッドが揃って並んでないのがイマイチだと酷評ばかりするけど意外と本人も楽しんで言いたい事を述べていると池袋駅(16:14-15)で1分間停車するが、ATSの切替と輸送指令Aタイプ無線のチャンネル切替をするための運転停車を行なって山手貨物線埼京線」を経て田端操駅(現・田端信号所)から東北貨物線に合流して大宮駅(16:43-44)に入線した。 大宮駅を発車すると東北線に入るとやや速度も上がって快調に北を目指す。せっかく展望ラウンジカーでのディナーなのでまだ外が見える時間帯の開店早々の時刻に合わせて2人用テーブルの一番展望がよい場所を選んでディナー開始だ。

 

当時の夢空間ダイニングカー・ディナーはマルス収容予約は無くてそれぞれ5,000円の肉料理ディナーと魚料理ディナーから選べて、嫁は肉中心のディナーを選び、自分は魚中心のディナーをチョイスした。 ES個室を評価しなかった嫁だが、ダイニングカーに移動した際に通ったクリスタルラウンジカー「スプレモ」と、このダイニングカーだけは素晴らしいとやや大げさに褒めて評価していたが、自分が注文した魚中心のディナー内容は以下のとおり。「前菜(蟹料理)」カニの甲羅を半分に切ってあり、カニの身をほぐした物の他、マヨネーズ合えしたじゃが芋なども入れられている一品。

 

 「メイン(海の幸のクリーム煮)」帆立貝・蟹脚棒肉・鱈を中心に野菜も加わったクリーム煮でまるでシチューみたいな味わいだ。「サラダ」新鮮な生野菜のサラダ。 「パン」丸いブリオッシュ型したフランスパン。 「デザート」洋梨のタルトと洋梨のシャーベット、タルトは香ばしく焼き上げられており、シャーベットも繊細な香りでとても美味しかった。 「コーヒー又は紅茶」で以上であるが夢空間のダイニングカーというシチュエーションも美味しさにプラスされたに違いない。食事時間中に宇都宮駅(17:44-45)に停車していたが、会計を終えると丁度黒磯駅(18:22-29)に到着したので個室に戻る嫁と別れて自分は機関車確認に行くと、福島運転所のED75-702が連結されていた。

 

本日の寝台特急北斗星トマムスキー」は車掌氏によれば4号車のツインデラックス(オロネ25-506)は7割が埋ってて、5号車(オロハネ24-553)のSA1とB2は満室で6号車から10号車の開放B寝台は半分強が予約で埋ってるとの情報である。郡山駅(19:16-18)に到着すると嫁からお洒落なラウンジ(クリスタルラウンジ・スプレモ)へ行こうと催促される。この時間まだダイニングカーはディナー営業中なのでクリスタルラウンジ・スプレモではお酒だけで食べる物は出来ないよと忠告するがよっぽど気に入ったようで2号車のオハフ25-901へ移動した。

トワイライトエクスプレスのダイナーエクスプレスやサロン・デュノールも凄かったけ
ど、クリスタルラウンジ・スプレモは華やかさに重圧が加わって更に強烈な印象だが中は自動演奏のピアノとスタンドバーがあり、窓際の椅子席も空いていたのだが、嫁はランプシェードのある窓際の座り心地が良さそうな椅子より、きらびやかに光る照明と金色に反射して、天井に吊ったワイングラスがお洒落に光り、マホガニースタイルのアンティークな感じの円筒形のスタンドバーが大層気に入ったようで、僕の選択肢は無視して先に座ってしまう(因みにオハフ25-901の製造は富士重工業、内装は松屋デパートが担当している。

 

いつも家内は家事や子育て(厳冬期なので4歳の息子は僕の実家で留守番中)で忙しの
でここは家内の希望を汲んであげて、一緒に座ると円筒形バーカウンター中心でお酒を作ってるバーテンダー(5年後くらいからバーテンダーの配置は廃止になる)からメニューを渡され、僕はホワイトホースのロックを、嫁は品名は失念したがバーテンダーがシェーカー振って作ってもらったカクテルで乾杯。まさに「大人の社交場」といった雰囲気でアール・ヌーボー調の内装で揃え、ゴールドな装飾が 織り成す夢空間という演出にも大いに酔う事ができ、車内中央のバーカウンターも他に例を見ない、かなり凝ったもの・・・照明などは到底ここが列車内とは思えません。

 

1989年12月に臨時列車としてデビューしたトワイライトエクスプレスのSA2ことスイート個室は一室当り50,000円(特急料金別)だが、夢空間デラックススリーパーのエクセレントスイート(ES)個室は一室当り66,000円(特急料金別)なのでスイートより高いのは1両当りの占有面積が大きいのとバスタブや部屋に公衆電話があるのが理由なのかもしれないけど因みに2部屋あるスーペリアツインはスイートと同じ一室当り50,000円(特急料金別)と考えると金額的にはスーペリアツインが見劣りする様な感じがしてならない。

 

 

途中、福島駅(19:53-55)にも停車して日本離れしたインテリアと雰囲気にお酒にも酔っ
て自分達の個室である3号車1号室のエクセレントスイート(ES)に戻って寛いでいると仙台駅(20:57-59)に到着した。 夜行列車では初の経験となる、バスタブにお湯を張って交代で入ったのだが、ビジネスホテルやシティホテルではどこでもあるようなサイズのバスタブで普通なのだけど、列車は横揺れや上下揺れするので水面は波が立ち、列車が揺れるとバスタブ内のお湯も全体的に流れるから入ってる自分の身体も動く感じは初めの感覚がとても面白い経験だった。

 

さてオロネ25-901こと、デラックススリーパーのES総括だが車輌の3分の1を占め、占有面積は14.6㎡、室内は応接室、寝室、バスルームの3セクションで構成されており、応接室にはソファー、クローゼット、BS放送対応テレビにカード式公衆電話にAV機器を装備。寝室はセミダブルベッドが2台、ベッドはL字型に配置され、寝室にもBS放送対応テレビを装備。応接室と寝室にはそれぞれインターホンがあり、ダイニングカーやラウンジカーへルームサービスのオーダーが可能になっていたが、実際にESやST(スーペリアツイン)のインターホンから注文出来るかは定かではない。

ESの良い所はそれぞれ応接室、寝室、バスルームで分かれて独立している点でBS放送
受信可能なモニターTVが導入されていた点(在来線では1989年開業した「スーパーひたち」のサロ651グリーン車、モニター画面からBS放送が見れたが夜行列車では「夢空間」のESとSTが最初である。 あとは既にお知らせしたバス・シャワー・トイレ・洗面所がホテルと同じであり、セミWベッドについては家具店が扱っている最上級のベッドが特筆される。寝台車のベッドでこれほど上質なベッドに出会ったのはこれが最初で最後である・・・バブル景気の際に内装を担当した高島屋は流石であるが、個室も通路もキンキラはどうかと思う(ラウンジ&ダイニングカーならともかく、個室区画はもう少し落着きが欲しかった)。

 

今宵は早めにベットの方向が違う、逆L字のベッドに入って22時過ぎには就寝したけど最上のベッドのおかげで盛岡駅(23:14)と青森駅(1:50-59)での運転停車も知らず、更に青函トンネルさえ爆睡中だったようである。 何故か4時過ぎに目を覚ましてソファーのある区画に移動して部屋の照明を落として窓の外を注視していると臨時寝台特急北斗星トマムスキー」は函館駅(4:16-48)に入線した。 函館駅では1号車寄りに連結されているED79を確認しに行くと青函運転所のED76-551が開放される所であった。 隣のホームには寝台特急「北斗1号」が入線、反対側に移動すると寝台特急北斗星トマムスキー」の先頭には空知運転所のDD51-1102とDD51-1148の重連が連結された。

一足早く、4:32に寝台特急北斗星1号」が、先に発車しても「北斗星トマムスキー」の発車まであと16分あるのは解せないが長かった函館駅での32分停車を終えて進路を函館本線に向けて発車したけど外はまだ真っ暗だけで小沼や大沼の畔を走り、森駅からは内浦湾(噴火湾)沿いに進むと長万部(6:30-42)に到着だ。 更に嫁を伴ってダイニングカー(オシ25-901)の一番展望のよい2人用のテーブルをキープして朝食だ。 パリのビストロをインテリア・イメージした内装(東急百貨店が担当)では洋朝食が似合いそうだが、せっかく早起きしたので限定の和朝食を注文すると後からきた、寝台特急北斗星3号」が発車してから「北斗星トマムスキー」も発車。

雪の中を進んで、東室蘭(7:46-47)・登別(8:06-06)と停車しながら苫小牧駅(8:42-45)に
到着すると苫小牧発車後に通過する沼ノ端駅から札幌方面に向かう、千歳線と分かれて石勝線との分岐駅でもある追分駅(9:13-28)に運転停車する。上り特急「おおぞら2号」との退避であるが、追分駅を発車すると進むにつれて雪深くなるようだ。 清風山信号場(10:14-19)ではDD51牽引の上り貨物列車とすれ違い、占冠駅(10:30-33)では臨時特急「トマムエクスプレス」とすれ違った。 横浜駅から遠路遥々19時間28分の所要時間を経てトマム駅へ10:53に到着した。 走破都道府県は実に10都道県にも及ぶ旅であったが嫁からも喜んでもらえて自分的には満足だけどこの手の列車個室は高いのが難点かな。

1991年1月25日 トマム手稲までの「北斗星トマムスキー・24系客車」返却回送。  
トマム11:20(回9011レ)12:44新得13:17(回9062レ)手稲18:29、(札幌運転所へ)。

回9011レ・回9062レの回送運転時刻(停車駅のみ)トマム11:20・串内11:28-12:03・西新得12:24-36・新得12:44-13:17(ここから回9062レ)・新狩勝13:36-42・串内13:54-55・トマム14:33-14:40・占冠14:58・オサワ15:03-21・追分16:05-35・千歳空港16:51-17:00・札幌18:15-17・手稲18:29。(串内、西新得、新狩勝、オサワは駅名ではなく、信号所です)

        ★★★★★Memories of the night train★★★★★